ファイルサーバー更新作業では既存のソフトウェアRAIDで構成されたディスクをそのまま使用する予定ですが何かの拍子でデータロストするとあまりにも痛いのでバックアップをとることにします。バックアップ対象のデータ量は約10TBです。
バックアップデータの退避先にはUSB接続のHDDケース、Marshal RAID TOWER2(MAL352U3RS3)を使用しました。簡単なスペックは以下です。
・2ドライブ対応
・RAID0, RAID1, コンバイン, スタンドアローン(JBOD)対応
・USB3.0対応
(1)外箱
(2)正面
(3)背面
(4)ディスクトレイ
(5)ACアダプター
好みは分かれるかもしれませんがコンセント側ケーブルと一体型になっています。
(6)動作しているところ
前面下側にRAID0、JBOD、RAID1の動作モードに応じたインジケーターがあります。
このケースでは背後のRAIDモードのディップスイッチを設定してリセットボタンを押しながら電源をオンにすることでRAIDモードの変更を行います。
RAID0で使用するときは上記のように電源をオンにした後、一度電源を切って再度電源をオンにしないとパソコンから認識されません。この挙動はRAID0に設定したときだけ発生します。ここだけ若干クセがあるので注意してください。
いつものようにメインPCに接続してCrystal Diskmarkでベンチマークを取ってみました。
RAID0
RAID1
スタンドアローン(JBOD)
内蔵SATA接続のHDD(ダイナミックディスク、ミラーボリューム)
RAID0のシーケンシャルリードとRAID1のシーケンシャルライト性能が目立ちます。RAID0は本来シーケンシャルアクセスはリード/ライト双方とも性能が良いはずなのですがここではそうなっていません。NTFSをクイックフォーマットしていることが影響しているかもしれません。実際、後述しますがCentOSのファイルサーバーでのバックアップの実行速度は書き込み200MB/s程度出ています。
上記結果から少なくともUSB3.0外付けケースが発売された頃に散見されたパフォーマンスが異常に低いSATA-USB3.0変換コントローラではない事がわかります。
バックアップはファイルサーバー上で行うのでCentOSの(というか伝統的な)tarコマンドを使用します。
(1)tarアーカイブを作る
# tar cvf アーカイブファイル名 バックアップ対象(ファイル or ディレクトリ)
(コマンド例)
# tar cvf rokuga.tar ./rokuga/
コマンドの詳細はググればいくらでもありますが、私がいつもやるのはバックアップ対象は必ず相対パスで指定することです。ここを絶対パスで指定すると、アーカイブを解凍するときも絶対パスで展開されるので使い勝手が著しく悪くなります。Windowsのzip等になじんでいる方は相対パスで指定した方が違和感が無いと思います。
(絶対パス例)
/mnt0/rokuga/
のように”/”で始まるパス名
(相対パス例)
./rokuga/
のように”./”で始まるパス名
(2)圧縮済みtarアーカイブを作る
バックアップファイルの容量を減らすためにデータ圧縮を使用する場合は-zオプションをつけます。
# tar -zcvf アーカイブファイル名 バックアップ対象
(コマンド例)
# tar -zcvf rokuga.tar.gz ./rokuga/
ファイル容量が節約できる圧縮オプションですが、ファイル転送速度は大幅に低下します。また、動画など既に冗長データが少ないファイルに関しては圧縮によるメリットはほとんど享受できません。オフィスデータやテキストデータが多いディレクトリをアーカイブするときのみ使用することをお勧めします。
動画データ5.5TBのバックアップに約8時間要しました。1秒あたり200MBです。CrystalMarkの書き込みテスト結果より良い結果になっています。